【くるる即興劇団】稽古(34)1/30
秋以降、インプロの創始者の1人であるキース・ジョンストンの著書『インプロ』(日本語版)を1章ずつ読み進めるという読書会を稽古終了後に劇団員の有志で行っています。
前回の読書会の中で出てきた課題、「敬語」問題。
舞台に上がって即興で何か喋るとなったとき、
多くの人が無意識のうちに「敬語」で会話してしまうのです。
それは「夫婦」や「友達」など、比較的関係の近い間柄の役であったとしてもそうなってしまいます。
もちろん、
「おかえりなさい、お父さん。今日は夕食にお鍋をつくりましたよ」
などと家族や親しい友人であっても丁寧な敬語をつかって日常を生きておられる方もたくさんいるのですが、
なぜか皆そのような感じの役になってしまいます。
劇団員同士の関係がそこまで濃くないと、
たとえ「お芝居上」であったとしても、相手に対して親しげな言葉やくだけた言葉、乱暴な言葉を出すことは難しくなります。
また、劇団員同士普段から仲が良くよく喋る間柄であったとしても、
舞台に立つとなぜか「敬語」で丁寧な言葉を使ってしまいます。
敬語というのはある意味で「安全」な言葉だからなのではと思います。
初対面の人やあまり親しくない人に「とりあえず敬語」で喋るように、
日常生活では、安全・安定的な関係を維持するために敬語は使われます。
舞台では、もちろんそれで成立する面もありますが、
関係が深まったり変化していかない、という面もあります。
また演じている役者同士の関係が少しよそよそしく見えてしまったりもします。
今回は、「敬語禁止!」に挑戦しました。
まずは皆がよく知っている「さしすせそ禁止ゲーム」(セリフの中に「さ」「し」「す」「せ」「そ」が入ったらアウト)というゲームからはじめ、
どんどん禁止事項を増やしていきます。
(敬語には「さしすせそ」が含まれることが多いので、敬語は自然に減っていきます)
禁止事項が増えてくると、皆「抜け道」を探し始めます。
「敬語禁止」になると増えたのが、
「こんにちは」や「今日はいいお天気ね」。
これも「差し障りのない会話」「相手との関係を深めすぎない会話」のときによく見られる言葉です。
こうしたものを禁止していくと、
「お元気?」「コーヒー飲む?」が増えていきました。
これはとてもおもしろい現象です。
たとえば、夫婦や友達同士が突然「離婚」の話や「お金の貸し借り」の話をしはじめるのは舞台上では意識しないとなかなか難しいものです。
上は「海岸」のシーンで、お客さんの願いを汲み取り「恋人同士」を演じたお2人。とても勇気のある選択。
「敬語を使わない/使えない」ことでできるようになる新たな関係(配役)や話題があります。
「禁止」することは範囲が狭くなることではなく、範囲を広げ何か新たなものを生み出すということを実感した稽古でした。
今回のベストショットその①。撮影してくれた江戸川カエルさん、ありがとうございました!
<稽古内容>
・体操・発声
・ストン
・アイデア出し(場所、職業、関係)
・さしすせそ禁止ゲーム
・敬語禁止でシーン
[photo by 江戸川カエル]